Witching Hour
散策,  文化,  

芝浦を歩き芝浦で食す

芝浦と言えば2005年頃だっただろうかSMAPを起用したCMで一躍有名になりましたね。
昔は東京湾の海底、「芝浦」とは「芝の浦」の意味で、もともとは芝一帯の東京湾を指す言葉であったらしい。江戸時代の頃には芝の雑魚場(ざこば)と呼ばれ、芝浦で採れた魚は芝肴(しばざかな)と称され江戸に広く出回り将軍にも献上されたとのこと。


今回はそんな意外と歴史のある芝浦のほんのごく一部をぶらぶらしてみた。
もちろん酒場の前に…

芝浦という地名は知っててもほとんど訪れたことがなく知らない町のひとつ。
だからこそぶらぶらするのは楽しい。
楽しいという気持ちはそのまま酒場にも直結する、と、思っている飲兵衛特権の前向き思考。

その昔、芝浦にも花柳界があった。
そこの見番(置屋・料亭・待合からなる三業をまとめる事務所)として建設された木造建築物が、何でも都内に現存する最古級の木造見番建造物とのことなので足を運んでみた。JR田町駅から浜松町駅方面へ徒歩で10分くらいのところにあり、現在は港区立伝統文化交流館として開館している。
住所で言うと東京都港区芝浦一丁目11-15
この手の施設では珍しく夜21時までやっているので仕事帰りでも十分行けるのが嬉しい。

 

港区立伝統文化交流館

 

港区立伝統文化交流館の近くには元料亭らしい木造建築物もある。
ただしこちは見たところ営業もしておらずいつまで残っているかは不明。

 

さて、時間も頃合い、暖簾をくぐるのに良い時間となった。
田町と言えばJR田町駅前(西口)と三田通りを繋ぐ路地に様々な商店が並ぶ「慶応仲通り商店街」が有名で、学生やビジネスマンで昼夜ともに賑わう歴史もある通りである。
しかし今回は芝浦の地名にこだわりたい。
だから線路を超えて向こう側へは行かない。


田町駅から芝浦方面へ新芝橋を渡り、そのままなぎさ通りを進み芝浦3丁目交差点に目的の「芝浦ホルモン本店」がある。
看板には創業昭和二十九年と書かれている。

1階はカウンターでもつ焼き、2階では創業昭和29年の焼肉はるみ、3階のお座敷でホルモンとのこと、1階から3階まで楽しめるらしい。
今回は1階のもつ焼きにした。
大きなコの字のステンレスカウンター、掃除が行き届いているのだろうどこもきれいに磨かれていてカウンターもピカピカで気持ちいい。
ビールを注文しさっそく自慢のもつ焼きをいただいた。
車で約3分の場所にある芝浦食肉市場から仕入れ、その日捌いた豚をその日にご提供と言っているだけのことはありどれも驚くほど新鮮で美味しい。
良い店に出会えたときほど嬉しいことはない。
今度はぜひ2階の創業昭和29年の焼肉はるみを楽しみたい。

芝浦ホルモン

 

知らない町を歩き、その町の酒場で飲む、これが楽しい。
珍味なんか無くて良い、ぼんやりその町の空気を感じながら飲めればそれで良いのだ。

 

 

WITCHING HOUR MASTER | グラフィックデザイナー | Tokyo, Japan